1. ついに出会えた。ボネとの“偶然にして必然”の瞬間
数ヶ月前、SNSで話題になっていたデザートが目にとまった。
「サイゼリヤの地域限定スイーツ『ボネ』がすごいらしい」——
濃厚でビター、大人の味わい。しかも、添えられているのは“アマレッティ”? 何それ…気になる!
すっかり気になって、近くのサイゼをいくつか回ってみたけれど、どこにもない。
「地域限定って、どこにあるの!?」と軽く迷宮入りしながら、いつしか探すのも諦め気味になっていた。
そんなある日。
友人とサッカー観戦に行った帰り、「飯でも食べていくか!」という流れに。
何を食べようか迷っていたら、友人が「サイゼにしない?」と一言。
特に期待もせずに入ったその店舗で、ふと目をやったメニューに——あった。
「ボネ Bonet(アマレッティ添え)」の文字が。
うそ、あるじゃん!?
見つけた瞬間、テンションは急上昇。
まさかこんなタイミングで出会えるとは…探してた時は見つからなかったのに。
即決で注文し、ワクワクしながら待つ時間。
この“予期せぬ出会い”が、食べる前からすでに特別な思い出になっていた。
2. ボネってどんなデザート?
「ボネ(Bonet)」は、見た目こそ“プリン”に似ているけれど、食べてみると全く別物。
その正体は、イタリア・ピエモンテ州の伝統的なチョコレート風味の焼き菓子だ。
基本の材料は、カカオ、卵、牛乳、砂糖、そしてビスケット(アマレッティ)やリキュール(アマレット)。これらを混ぜて型に流し込み、カラメルを加えて蒸し焼きにする。なめらかで濃厚、それでいてどこかほろ苦い、大人の味わいが特徴だ。
「プリンの親戚」とも言えるけれど、プリンよりも香りが強く、コクがあり、ずっしりとした存在感がある。特に、アマレットリキュールの香りがほんのりと効いているのが、ボネならでは。
もともと“家庭の味”として親しまれてきたスイーツだが、今ではイタリアのレストランやトラットリアの定番デザートのひとつ。
ピエモンテでは「食後はエスプレッソとボネでしめる」という人もいるほど、食文化に根付いた存在なのだ。
そんな本格スイーツが、まさかサイゼリヤで出会えるとは。
しかも、ちゃんと“らしさ”があることに驚かされる。

3. ボネに添えられた「アマレッティ」って?
念願のボネが目の前に置かれたそのとき、まず目に入ったのは、隣にそっと添えられた小さくて丸いビスケット。
見た目は地味だけれど、存在感はなかなかのものだ。
これは「アマレッティ」と呼ばれる、イタリアの伝統的な焼き菓子。
名前の由来は、イタリア語で「少し苦い」を意味する「アマーロ」から来ていて、
ビターアーモンドの香りや、しっかりした甘みが特徴だ。
外はカリッと、中はほろっと崩れる独特の食感。
素朴だけど香ばしく、濃厚なボネと一緒に食べると、味に奥行きが生まれる。
実は、昨日食べたとき、ボネ本体から杏仁豆腐のような香りを感じて驚いた。
あれは、おそらくボネに使われている「アマレットリキュール」によるもの。
アマレッティもアマレットも、同じ「アーモンド系の香り」を持っているので、全体として調和感があり、とても心地よかった。
サイゼリヤがこのアマレッティを“添え物”として選んでいるのも納得で、
これはただのアクセントではなく、味覚の幅を広げる“共演者’なんだと感じた。

4. 実食レポート:サイゼの「ボネ」、実際に食べてみた!
運ばれてきたボネは、深いチョコレート色。
表面はつやっとしていて、どこかプリンのようにも見えるけれど、その雰囲気は“ただのデザート”じゃない。隣には小さなアマレッティが添えられていて、見た目にも心をくすぐられる。
スプーンを入れると、ぷるっとした弾力のある感触。
ひと口食べた瞬間、ふわっと広がるのはビターなカカオの風味。
でもそれだけじゃない——
後から杏仁のような、どこか懐かしくて、ちょっと大人びた香りがふわりと追いかけてきた。
この杏仁感、そういえばアマレットリキュールの香りに似ている。
調べてみると、ボネにはアマレットが使われていることが多いそうで、あの風味はまさにそこから来ていたのだと納得。
甘さは控えめで、ほんのりとした苦味が全体を引き締めている。
デザートというよりも、“食後の余韻を楽しむための一皿”という感じ。
そこにアマレッティの香ばしさとカリッとした食感が加わって、口の中がどんどん楽しくなる。
ワインと合わせていただいたが、これがまた最高の組み合わせだった。
ボネの濃厚さが赤ワインに負けず、むしろ引き立て合っていた。
食後にこの一皿が出てくるだけで、まるでちょっといいレストランに来たかのような気分になる。
5. サイゼリヤは“本気”だった:ファミレスにしてイタリア文化の伝承者!?
食べ終わって改めて思ったのは、「サイゼリヤって、本当にただのファミレスじゃない」ということ。
今回の「ボネ」に限らず、サイゼリヤのメニューをよく見ると、
聞き慣れない名前の料理や、素材にこだわったものがけっこう多い。
それもそのはず、サイゼリヤは「イタリア料理の本質を、日本でも気軽に楽しめるようにする」ことを徹底している企業なのだ。
実際、ボネもアマレッティも、イタリアでは地域に根づいた伝統菓子。
しかもそれを「ただ置いている」だけではなく、味の再現度や食感、添え物とのバランスまで細かく計算されているのがわかる。
さらに驚くのは、**このボネが“地域限定メニュー”**だという点。
つまり、サイゼリヤは一律ではなく、あえて地域ごとに異なる体験を提供しようとしている。
これって、よくある“全国チェーンの便利なファミレス”という枠を、軽々と超えている姿勢だと思う。
正直、普段はメイン料理に目が行きがちだけど、
こんなに本格的でユニークなデザートが隠れているなんて…まさに“サイゼの深淵”。
気軽に入れて、コスパも良くて、それでいて本場の文化に触れられる。
サイゼリヤは、実は静かに、そして確実に、イタリア文化の伝承者なのかもしれない。
6. まとめ:ボネが気になる人へ伝えたいこと
「ボネってなに?」「プリンの仲間?」「なんかおしゃれだけど、よくわからない」
そんな風に思っていた自分が、今ではすっかり魅了されてしまった。
見つけたのは偶然だったけれど、
食べてみてわかったのは、ボネはただのデザートじゃないということ。
そこには、イタリアの地域に根ざした文化や、サイゼリヤの“見えない本気”が込められていた。
しかも、杏仁のような香りやビターな風味、大人っぽい味わいは、普段のファミレスデザートとは一線を画す体験だった。
ワインと一緒に楽しむことで、さらにその奥行きが感じられる。
もし、あなたの近くのサイゼリヤで「ボネ」を見かけたら、ぜひ一度試してみてほしい。
きっと、ちょっとした非日常と、サイゼリヤの奥深さに触れることができるはず。
そして、気に入ったら誰かに話してみてほしい。
「サイゼのボネ、知ってる?」って。
きっとその一言が、また誰かの“おいしい発見”につながっていくから。