「全国どこにでもあるファミレス」 そう思われがちなサイゼリヤですが、実は2025年12月現在でも「サイゼリヤが存在しない県(空白県)」があることをご存知でしょうか?
かつては「空白地帯」と呼ばれた北海道や青森、秋田などにも続々とオープンし、東北エリアはすでに全県制覇されています。
しかし、まだミラノ風ドリアが届いていないエリアが、日本には残されているのです。
「なんでうちの県には来ないの?」「嫌われてるの?」 そんな声も聞こえてきそうですが、そこには嫌がらせでもなんでもなく、「あの安さを守るための鉄の掟」が存在しました。
今回は元店長の視点から、最新の未出店エリア事情と、出店しない「合理的な理由」、
そしてついに空白県に出店した際に起きる「ある事件」についてお話しします。
1. 【最新版】サイゼリヤがない「空白県」はここだ!
まずは現状の整理から。 本州(東北・関東・中部・近畿・中国)はすべて埋まっています。
現在、店舗がないのは主に「四国」と「九州南部・沖縄」のエリアです。
■ 四国エリア(残り3県)
香川県には2022年に待望の出店を果たしましたが、山を越えるルートはまだ開拓途中です。
- 徳島県
- 愛媛県
- 高知県
■ 九州・沖縄エリア(残り5県)
福岡などの北部には店舗がありますが、そこから離れたエリアはまだ空白となっています。
- 長崎県
- 大分県
- 宮崎県
- 鹿児島県
- 沖縄県
合計すると、残り8県。 これだけのエリアで、まだ「サイゼリヤ」は幻のレストランなのです。
2. なぜ出店しない?元店長が教える「物流の壁」
「人気なんだから、作れば絶対儲かるじゃん!」 そう思うかもしれません。
しかし、サイゼリヤには「儲かるか」以前に「運べるか」という大問題があります。
理由①:自社工場からの「コールドチェーン」が届かない
サイゼリヤの食材は、自社工場(国内・オーストラリア)で加工され、鮮度を保ったまま店舗へ運ばれます。
この時、産地から店舗まで一定の低温を保ち続ける「コールドチェーン(低温物流網)」が必須です。
配送コストが上がってしまうと、「ミラノ風ドリア300円」が維持できなくなってしまうのです。 300円で提供するためには、「近場の工場から効率よく運ぶ」ことが絶対条件になります。
理由②:ドミナント戦略(一気に出店しないといけない)
サイゼリヤは「ポツンと一軒」だけ出店することを嫌います。
出すなら、そのエリアに工場や配送ルートを確保し、一気に10店舗、20店舗と固めて出店(ドミナント出店)しないと効率が悪いのです。
「出すなら一気に攻める。準備ができるまでは一歩も動かない」 これがサイゼ流の経営判断であり、空白県がなかなか埋まらない理由なのです。
3. ついに空白県に進出!その時、現場で起きること
そんな厳しい条件をクリアし、ついに「空白県」への出店が決まった時。 現場では、想像を絶する事態が起きます。
それは、「半端ではない長さの行列」です。
長年待ちわびた県民の皆さんの期待値は最高潮。 「テレビやネットで見ていたあのミラノ風ドリアが、ついに食べられる!」という熱気で、お店の前には朝から凄まじい人だかりができます。
実は私も過去に、ある新規エリアの出店に携わったことがあるのですが、その時の光景は忘れられません。 あまりにお客様が並びすぎてしまい、急遽、予定していた開店時間を30分早めてオープンしたこともありました。
それは単なる「飲食店のオープン」ではなく、まるで**「地域のお祭り」**のような熱狂ぶり。 「待たせてごめんね、やっと来たよ」という申し訳なさと、「こんなに待っててくれたんだ」という感動で、スタッフ側も胸が熱くなる瞬間です。
まとめ:あなたの街に来る日は遠くないかも?
サイゼリヤが出店しない理由は、「嫌いだから」ではなく「300円で最高の状態で提供する準備」をしているからでした。
安易に出店して値上げするようなことはせず、体制が整うのをじっと待つ。 この**「待てる経営」こそが、サイゼリヤの誠実さです。
まだサイゼリヤがない県の皆さん。 焦らされた分だけ、ついにオープンした時の喜び(と行列)はものすごいものになります。
その時、ミラノ風ドリアはきっと、長い旅路と企業努力を経て届いた「奇跡の味」になっているはずです。
