はじめに:イカ墨パスタとの出会いはサイゼだった
私が初めて「イカ墨パスタ」というものを食べたのは、サイゼリヤでした。
正直、それまでは黒いパスタなんてちょっと怖くて、自分が食べるものだとは思っていませんでした。
見た目もインパクトがあるし、なにより「歯が黒くなる」なんて話を聞くと、なんだかハードルが高い。だけど、あのときの私はなぜか少しだけ好奇心に背中を押されて、メニューの写真をじっと見つめながら、そっと注文してみたんです。
そして一口食べた瞬間、びっくりしました。
見た目からは想像できない、濃厚だけどまろやかな味わい。魚介の旨味がぎゅっと詰まっていて、塩気もちょうどよく、パスタとの相性も抜群。気づけば夢中で食べていて、「なんで今まで食べなかったんだろう」と思ったのを覚えています。
イカ墨パスタは、私にとって“冒険の味”でした。
そして、その冒険の入り口を用意してくれたのが、サイゼリヤだったのです。

休みの日のご褒美パスタ
イカ墨パスタは大好きだけど、実はいつでも気軽に食べられるものではありませんでした。
最大の理由は――歯が黒くなるから。これ、本当に厄介なんです。仕事の日に食べてしまったら、会話のたびに「大丈夫かな?」と気になって仕方ないし、ふと鏡を見てギョッとすることも。
だから、私にとってサイゼのイカ墨パスタは**“休日限定”の特別なメニュー**。
「今日はもう何も予定がない」「誰にも会わないし、ゆっくりできる」そんな日を見つけては、こっそりサイゼに足を運んでいました。メニューを開くまでもなく、心の中ではもう決まってる。「イカ墨、いきます」。
ちょっとした背徳感と、自由な気持ち。
黒いパスタをすすりながら、「ああ、今日休みでよかった〜」なんて思える瞬間は、小さな贅沢であり、ささやかなご褒美でもありました。
ちなみに、これは余談だけど、イカ墨パスタを食べた翌日、トイレでちょっとビックリする。
そう、ちょっと黒くなるのだ。(笑)
でも、それすらも「昨日のご褒美だったな〜」と思えて、なんだかニヤッとしてしまう。
セピアへの進化と再会
そんな私の“黒いご褒美”に、ある日ちょっとした異変が起きました。
いつものようにサイゼリヤに行って、あのイカ墨パスタを頼もうとメニューを開いたら――名前が変わっている。
「イカの墨入りスパゲッティ セピア」?セピアって、あのセピア色のセピア?どこか懐かしいような響き。でも、イカ墨なのに黒くない…?
気になって注文してみると、たしかに以前より見た目が少しマイルドな黒さ。
真っ黒というよりは、やや茶色がかったダークグレー。最初は少し戸惑いました。「あの真っ黒さが“らしさ”だったのに…」と、ほんの少しだけ寂しくも感じました。
でも、一口食べてみた瞬間、その不安はスッと消えました。
あの濃厚でコクのある味わいは、ちゃんと健在。魚介の旨味がしっかり残っていて、なめらかな口当たり。しかも、歯がほとんど黒くならない! これはありがたい…!
サイゼリヤは、ちゃんと進化していたんだなと実感しました。

やっぱり、好きなものは変わらない
見た目が変わっても、やっぱり私はこのパスタが好きです。
「歯が黒くなるから休みの日しか食べられない」なんて思っていたけれど、今ではセピアになっていつでも食べられるようになった。それはすごく嬉しいことなのに、どこかで“黒さ”を恋しく思ってしまう自分もいるんです。
でも、それも含めてやっぱり変わらない美味しさと特別感がこのパスタにはある。
最初に食べたときの驚きや、休みの日だけの小さな楽しみとしてそっと味わっていた時間。
セピアになった今も、その思い出を一緒に連れてきてくれる感じがして、口に運ぶたびにちょっとあたたかい気持ちになります。
サイゼリヤのイカ墨パスタは、ただのメニューじゃないんです。
私にとっては“初めてのイカ墨”であり、“自分だけのご褒美”であり、そして今も変わらず好きでいられる味。
進化しても、好きなものはやっぱり好き。
その気持ちを改めて確認できた、そんな再会でした。
おわりに:これからもサイゼで黒いパスタを食べ続けたい
サイゼリヤのイカ墨パスタとの付き合いは、もう何年になるでしょう。
初めて食べたときのワクワクや、休みの日にこっそり楽しむ特別感。セピアとして進化した今も、その魅力は変わらず、むしろますます愛おしく感じています。
今では歯の黒さを気にせずに食べられるようになったけれど、私の中ではやっぱり「ちょっと特別なメニュー」。
ふと思い出したときに食べたくなるし、サイゼに行ったら自然と注文してしまう、そんな存在です。
もしかしたら、イカ墨パスタってまだまだ「未知の料理」だと思っている人も多いかもしれません。
でも、サイゼのイカ墨はそんな人の背中をそっと押してくれる“入り口”になると思うんです。見た目に驚いて、味に驚いて、そしてきっとハマってしまう。私がそうだったように。
これからもきっと、私はサイゼで黒いパスタを食べ続けると思います。
静かな休日に、ちょっとした自分へのご褒美として。
変わらずそこにいてくれるその味に、ありがとうを込めて。