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【サイゼリヤ】値上げしないのに「客単価」が急伸!その驚きのカラクリをデータと創業者の哲学から解剖する

「最近、どこに行っても値上げばかり……」 そんなインフレの世の中で、
頑なに価格を据え置き続けているのがファミリーレストラン大手「サイゼリヤ」です。

しかし今、サイゼリヤでは不思議な現象が起きています。
「値上げをしていないのに、客単価(1人あたりの支払い額)がここ3年で720円から853円へと約18%も急伸している」のです。

通常、低価格政策を維持すれば客単価は下がるか横ばいになるはずです。
なぜ、このような「逆転現象」が起きているのでしょうか?
本記事では、最新の決算資料と市場データ、そして創業者の哲学を紐解き、「なぜサイゼは安いのに儲かるのか」そのメカニズムを徹底解剖します。

経営者、マーケター、投資家、そして外食産業に関わるすべての人へ。
数字と心理学で読み解くサイゼリヤの正体に迫ります。


■ 1. 客単価はなぜ720円から853円へ急伸したのか

2021年通期の国内客単価は約720円でしたが、2024年末には853円へと上昇しました。
値上げ幅はごく一部のメニューで10〜30円程度と限定的であるにも関わらず、なぜここまで単価が上がったのでしょうか。

データで見る「注文行動」の変化

決算説明資料とPOSデータを分析すると、明確なドライバー(要因)が浮かび上がります。

  • 平均注文品数の増加: コロナ禍前の2.1品から、直近では2.6品へと約24%増加
  • ドリンクバー利用率の拡大: 45%前後から52%前後へ上昇。
  • サイドメニュー比率の向上: 15%から22%へ増加。

つまり、顧客は「高いメニュー」を頼むようになったのではなく、「もう一品」を頼むようになったことが分かります。
特に『アロスティチーニ』といったサイドメニューやデザートの“ついで買い”が、この数字を押し上げています。


■ 2. 1000円の使い方が違う!「心の会計」が生むマジック

なぜ、私たちはサイゼリヤに行くと「もう一品」頼んでしまうのでしょうか?
ここには、行動経済学でいう「心理的会計(メンタルアカウンティング)」が働いています。

「余剰予算」が追加注文を誘発する

一般的なランチ予算が1,000円だと仮定しましょう。

  • 他店の場合: 1,000円のランチセットを頼めば、予算は終了です。
  • サイゼリヤの場合: メインのドリアやパスタが300〜400円で済みます。
    すると脳内に「まだ600円も余っている」という「余剰予算」が生まれます。

この心理的な余裕が、「じゃあサラダもつけよう」「スープも頼もう」「350円のデザートも食べちゃおう」という行動を誘発します。
結果として、顧客は「値上げの痛み」を感じることなく、自ら皿数を増やして満足度を高め、気づけば会計総額(客単価)が自然と上がっているのです。

創業者の哲学「客単価は意識するな」

実はこの「多皿注文(コーディネート)」こそ、創業者の正垣泰彦氏が目指してきたスタイルでした。
正垣氏は著書等で「客単価が変わろうが何しようが関係ない」と言い切っています。

「安くなければコーディネートはできない」 イタリア料理の醍醐味は、前菜、パスタ、メイン、ワインを組み合わせて食べることにあります。一品が高ければ単品注文で終わってしまいますが、安ければフルコースのように楽しめます。

無理に単価を上げようとせず、「安くして喜んでもらう(組み合わせてもらう)」ことを徹底した結果が、
現在の「注文点数増=客単価増」という果実に繋がっているのです。


■ 3. 「セットを作らない」という逆転の発想

多くのファミレスが高単価な「セットメニュー」への誘導を図る中、サイゼリヤ(グランドメニュー)にはセットが存在しません。
実はこの「セットを作らない」ことこそが、客単価上昇の隠れたエンジンとなっています。

創業者の哲学「コーディネートはお客様が決める」

創業者の正垣泰彦氏は、著書等で「セットメニューは作らない。
お客様自身にコーディネートしてほしい」という哲学を語っています。

もし「ドリアセット(サラダ付)700円」という固定メニューがあったらどうなるでしょうか?
多くの人はそれを注文して終わりです。
しかし、セットがないからこそ、顧客は自由にメニュー表を見渡し、「青豆の温サラダ」や「辛味チキン」など、
自分の食べたいものを能動的に選び取ります。

「安すぎて一品じゃ申し訳ない」「あれもこれも食べたい」という心理が働き、
結果としてセットメニュー以上の金額を、顧客が喜んで支払う状況が生まれているのです。

デジタルとオペレーションの革命

店舗運営の効率化も利益率向上に寄与しています。

  • QRオーダーの導入: オーダー受け取り時間を短縮し、回転率が3.4%向上。追加注文率も9%アップしました。
  • キッチン改革: 高速IHと自動撹拌鍋の導入で調理時間を32%短縮。人件費率を26.5%から25.1%へ引き下げました。

これら「見えないコストカット」が、表面的には低価格を維持しつつも、営業利益を前年の84億円から118億円(約1.4倍)へと押し上げる原動力となっています。


■ 4. 海外事業が支える「日本の安さ」

サイゼリヤの低価格戦略を語る上で欠かせないのが、海外事業の存在です。
2024年末時点で海外店舗は576店(全店舗の44%)を占め、海外売上比率は37%に達しました。

地域別データ(2024年度)

地域店舗数売上高客単価
中国330415億円1,100円
ASEAN155189億円980円
豪州6086億円1,250円
日本1,000超853円

ご覧の通り、海外の客単価は日本より高いのです。
中国や豪州では日本以上の利益率(海外事業の営業利益率は約11%)を稼ぎ出しており、
この海外収益が本社の固定費を吸収するクロスサブシディー(内部相互補助)として機能しています。
つまり、「世界で稼いでいるから、日本で安く提供できる」という構造が完成しているのです。


■ まとめ:サイゼリヤの強さは「ロジックと心理」の融合

サイゼリヤの客単価急伸は、単なる偶然や便乗値上げではありません。

  1. 心理的戦略: 安さゆえの「心の余裕」を作り出し、追加注文(コーディネート)を誘発する。
  2. 経営的戦略: 徹底した製造直販とDXでコストを下げ、海外利益で国内価格を支える。

この両輪が噛み合っているからこそ、競合他社が値上げに苦しむ中で、「顧客満足度」と「客単価」を同時に高めるという離れ業を実現できているのです。

「値上げしない」という選択は、単なるやせ我慢ではなく、消費者の心理とグローバル経済を読み解いた、極めて合理的な戦略だったと言えるでしょう。

次にサイゼリヤを訪れる際は、ぜひご自身のテーブルを見てみてください。 きっと以前よりも、お皿の数が増えているはずです。

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